遺産分割審判
遺言書が作成されておらず,法定相続となった場合には,どの法定相続人がどの遺産を相続するかを決めなければなりませんが, 遺産分割調停を経てもなお法定相続人の間で合意が成立しない場合,どの遺産を誰が相続するかを裁判所が決定する手続が,遺産分割審判です。 当事者全員の合意が必要ないというメリットはありますが,法律の規定が厳格に適用されるなど,必ずしも実情にあった決定がなされるわけではないと いうデメリットもあります。
当事務所では,ご依頼により,遺産分割調停に引き続き,あるいは遺産分割審判の段階から,法定相続人の代理人となって遺産分割審判に出席することも 承っております。
遺産分割審判の進行
遺産分割調停が不調で終了すると,自動的に遺産分割審判に移行することが原則ですので,あらためて申立をする必要はありません。
おおむね,1か月から1か月半に1回の割合で期日を積み重ね,その期日の中で法律上の主張と証拠を提出し,すべての主張と証拠が出そろった段階で, 裁判所が審判をすることとなります。不動産の評価額が問題となる場合には,裁判所が鑑定人を選任し,評価額に関する鑑定が行われることがあります。
遺産分割審判がなされたら
遺産分割審判がなされると,その審判を受け容れるのか,それとも不服があるので高等裁判所に上訴(抗告)するのかを, 2週間以内に決め,不服がある場合には高等裁判所への抗告状を家庭裁判所に提出しなければなりません。
当事者のどなたか1人でも抗告を行えば,高等裁判所での手続が開始されますが,全員が抗告をしなかった場合には, その審判は確定し,それぞれの当事者は,その家事審判書の正本等を金融機関や法務局等に提出し,預貯金や不動産の名義変更手続等を することとなります。
抗告するかどうかを検討する時間が限られていることから,ご相談は,できれば審判がなされる前の段階で, お早めにいただくことをお勧めいたします。